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【COLUMN】OKRが失敗するのはこんなとき!3つの理由から運用方法を考える

FacebookやGoogleなどIT企業の最先端が導入していることで一気に注目を集めた「OKR」。日本でもすでに多くの企業が導入し始めているものの、OKRには「失敗」や「難しい」といった印象もあります。

そこでこの記事ではOKRが失敗する原因を探り、改善方法を解説します。すでにOKRを導入している企業の担当者やOKRに興味のある経営者の方はぜひ最後まで読み、今後の参考にしてくださいね。

OKRとは

OKRは、「Objectives and Key Results」の略称で、Objectives(目標)とKey Results(主要な成果)によって高い目標の達成を目指す目標管理手法です。ここからは簡単にOKRの仕組みについて解説します。

スタートアップと相性が良い

スタートアップのような創業後間もない状況では目標を設定し、正しいプロセスに沿って実行するよりも、今抱えている課題に迅速に対応することが求められます。そのため、OKRのような高い目標を組織で設定しつつ、達成プロセスを柔軟に変化させられる手法のほうが、スタートアップには適していると考えられます。

言うは易く行うは難し

OKRには高い目標を設定する特徴があります。ムーンショットとよばれる目標は通常時に達成できる目標を100%とした場合に60~70%となるような、極めて高い水準を設定します。それはムーンショットのような高い目標を達成するには方法を工夫する必要があり、その中でイノベーションや普段なら思いつかないようなアイデアを狙うためです。

しかし、実際は高すぎる目標にかえってモチベーションが下がってしまうなどもあり、OKRの運用は工夫が必要になります。

OKRの失敗事例とその対策

OKRはそのシンプルさから簡単に導入できるかのように思われていることもあります。しかし、そのシンプルさ故に本質的な価値が伝わりにくく、導入したあとにうまく運用できない…といったことも。

ここからはOKRでよくある失敗事例を3つ、ご紹介します。それぞれに改善方法も解説しますので、ぜひ自社の取り組みの参考にしてください。

事例①:MBOと混同してしまう

MBOは、設定した目標の達成度を管理する目標管理手法です。日本企業の多くが導入しており、最も馴染みの深い評価制度ではないでしょうか。実際にMBOとOKRは同じように目標を設定し、その達成度合いを評価するため、一見すると違いがわかりにくいと感じる方も多いようです。

改善方法

OKRとMBOの違いはどこにあるのでしょうか。それは、目的・目標にあります。通常、MBOでは達成度合いが100%前後になるような目標を設定するのに対し、OKRは60~70%など、通常の業務ではなかなか達成できないレベルの目標を設定します。それは、OKRによって高い目標や新しいイノベーションの実現を目指しているからです。

OKRは、成果で人を管理するという側面より、働く人たちのモチベーションを高めパフォーマンスを改善する側面が強い人材マネジメント手法です。そもそも企業が目指しているのは安定的な成長なのか、それとも爆発的な成果なのか、組織風土がボトムアップなのか、トップダウンなのか、現状の組織課題は何かなど、目指す状態や会社のミッション、カルチャー、取り巻く環境などから検討を行いましょう。

事例②:魅力的なObjective(目的)を設定できない

OKRの失敗事例として魅力的なObjectiveを設定できないという問題があります。OKRを有効に機能させるには、「自社が目指す大きな目標」を明確にしなくてはなりません。具体的には数値目標を釣り上げただけの目標や、組織の目指す方向性と乖離がある目標など、こうしたOKRはかえって従業員のモチベーションを下げかねません。

改善方法

前提としてOKRは、組織の目指すOKRと部署、チーム、そして個人のOKRがすべて結びついていることが理想のため、OKR間の連携はとりつつ、OKRそのものにも「意味づけ」を行いましょう。よく知られたものにイソップ童話のレンガ職人のお話があります。レンガをただ作業として積んでいる人と、大きな目的のために作業している人とではその能率に大きな差が生まれるというお話ですが、OKRも同様に目標に対し適切に意味付けを行うなどにより、従業員のモチベーションを向上させることが可能になります。

事例③:人事評価と直接連動してしまう

OKRの失敗事例3つ目は、人事評価と直接連動させてしまうことです。あらかじめ報酬を連動させてしまうと目標設定時に目標を低く見積もったり、現状維持の目標を設定したりといったことが発生してしまう可能性があります。

改善方法

OKRは本来、高い目標の達成を目指すプロセスを重視する手法です。連続的な改善ではなく、非連続の改善が求められる状況において、現状維持の目標設定はOKRの目的とは異なります。改善方法としては、OKRはあくまで人材マネジメント手法の一つとし、まず「OKRで何をしたいのか」を明確にしましょう。その結果、人事評価への反映を部分的に行ったり、OKR評価を報酬と紐づけない形で運用するなど、自社の組織に合った運用ルールの検討をしていくことが重要です。

まとめ

OKRは、組織目標と個人目標を連動させるとともに、高い頻度でレビューを行います。実際、OKR導入がスムーズに最初から機能することは少ないと言われていて、運用しながら試行錯誤して改善し、自社の実態に合った運用ルールや方法を模索しながら確立していくことが求められます。

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