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【COLUMN】コロナ禍における各社の雇用環境の変化について

新型コロナウィルスが世界中で猛威を振るい、世界各地で数万人規模の感染者を生み出しています。ワクチンの開発には数年の期間がかかり、継続的に感染拡大の防止に努める必要があるため、多くの企業でテレワークの導入・推進など働き方の変革がなされています。
オリンピックを目前に準備を開始してきた「働き方改革」が、コロナ禍で各社が出社型からテレワークに切り替え、必要に迫られた側面もあった影響で急激にテレワークの導入が進みました。このような働き方の変化が、多くの企業で社員や会社にメリットをもたらしているようです。
今回はコロナ禍における雇用環境の変化や各社の取り組みについて、一部ご紹介していきます。

vol.1-2

<東芝>
80%近くの社員の働き方をリモート勤務に変更

新型コロナウィルスの出現により働き方を大きく変えた会社の一つが東芝です。2020年4月の中頃からゴールデンウイーク明けまで営業の自粛を行い、営業が再開した後は感染拡大を防ぐ目的でリモート勤務を普及させるなど、働き方改革を徹底的に行うようになりました。
現在のところ80%の社員が在宅勤務になっているなど、ほぼすべての社員がリモート勤務をおこなっているといってよいでしょう。
また、リモート勤務のみならず”週休三日制の導入”を目指すなど、新しい働き方の模索も行っています。

<富士通>
テレワークを使って固定費の削減を目指す

コロナウイルスの拡大を受けて働く仕組みを大きく変えた企業の一つが富士通です。勤務制度をはじめ手当や福利厚生、IT環境などを全面的に見直し、リモート勤務のしやすい環境を作り上げました。現在では75%の社員が在宅勤務などのリモート勤務を行っています。
リモート勤務の影響を受けたのは社員だけではありません。ほとんどの社員がリモート勤務になった影響で、オフィスの使用率大幅に減ったことから、2022年までにオフィスの数を半分に減らすなど新たな動きもみられています。
オフィスの減少は固定資産税や家賃など会社が支払う固定費を減らす効果があり、テレワークの導入は会社側にもメリットを与えることを示しています。

<Yahoo>
ギグパートナーの募集開始

リモート勤務の一環として面白い制度を立ち上げたのがYahoo。「ギグパートナー」制度を立ち上げて一緒に働いてくれる人を募集しています。募集している職種もエンジニアやデザイナーをはじめ、戦略アドバイザーや新規サービスの企画立案担当など様々です。
ギグパートナーの面白いところは、従来の雇用形態と異なる点です。現状、日本の会社ではパートナーシップ型の雇用形態を採用しているところが多いです。パートナーシップ型は労働者が会社と無期雇用契約を行う雇用形態であり、会社が労働者の保証を行なってくれる契約です。その代わりに契約時に勤務地や仕事内容は指定されず、会社から下された勤務地や仕事内容に従わなければいけない、という性質があります。
ギグパートナーは、従来の日本型の雇用形態とは大きく性質が異なります。募集段階で仕事内容が決まっており、会社側から一方的に仕事内容を変更をされることはありません。勤務地についても同様です。必要に応じてオフィスに出勤するケースはあるものの、そうした事例は例外的なものであり、基本的には自宅などでのリモート勤務となります。
Yahoo側では、ギグパートナーは「副業」と位置づけられており、仕事内容や勤務地が原則として、出社を伴わないオンラインでの業務などと最初から決まっていることからジョブ型の雇用形態に近いかもしれません。

<ライオン>
リモート勤務拡大に伴い、副業人材を公募

ライオンもリモート勤務拡大をしている企業のひとつです。社内における新型コロナウィルスの感染拡大を防ぐために、リモート勤務の仕組みを大きく整え、併せて、リモート勤務の拡大に伴い、社内での副業公募をスタートし、大企業が外部から副業人材を募集するのは珍しい試みとして話題になりました。
まず、副業をする社員の増加。副業に興味のある社員はそれなりにいたものの、通勤やオフィスで働くことなどの制限により副業できないというケースが多くありました。リモート勤務の拡大に伴い、通勤に関する制限がなくなったため、副業をする社員が増えています。副業を通して、会社で育てられないスキルを身に着けられることにもなるため、社員本人だけでなく会社にもメリットを得られることから、会社としても副業を推奨しているようです。
続いて、副業を前提とした人員の募集を開始したことです。ライオンでは新規事業の立ち上げに力を入れており、事業立ち上げのノウハウを持つ人材を募集しています。副業前提のため、勤務日数は週1日から可能でリモートワークも認めるなど、柔軟性の高い募集要項となっています。

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今後も新型コロナウィルスの猛威は続くことから、リモート勤務・テレワークの普及は様々な企業で推進されるといってよいでしょう。リモート勤務やテレワークは単に自宅や近い場所で仕事ができるだけでなく、通勤時間の活用により副業が行えたり、浮いた時間で自己研鑽に努められたりと、様々なメリットをもたらしているようです。今後も、多様な働き方がどんどん促進され、それに伴い企業/個人、それぞれ仕事に求めるものが変化していくでしょう。
時代の流れにしっかりとついていきたいものですね。